提案概要を知っていますか
みなさんは提案書の中に提案概要のページを作っていますか。
提案概要って何、書いたことないよ、とか、なんとなくイメージがわくけれどよく知らないという言葉が浮かんできそうです。
中には「提案骨子」ならいつも付けている、という方もいらっしゃいます。
正しい提案概要とは
提案概要は文字通り、提案書の中で、その全容が分かるパートであり、提案書が訴求する内容の大枠を短く伝え、一文書として切り離せるくらい独立した性質を持っています。分量としては、A4文書であれば2,3ページ、スライドで作成するとしても内容により、1,2スライドから5,6スライドでしょうか。提案したいコンセプト、訴求ポイントをまとめます。
提案概要の重要性
なぜ提案概要が必要なのでしょうか。それは、読み手に内容を読み始める前に、結論を知ってもらってから読み出して欲しいからです。提案書の大小にかかわらず、概略をつかんで読むのと、いきなり細かい話から読み始めるのでは、読み手の頭の中にスムーズに入っていくのが異なります。
もし提案概要がなかったら
人は書類を表紙からめくって読むのが一般的です。提案書の内容の前に提案概要がなかったら、目次があり、いきなり内容が始まります。
ずるずると読んでいくと、読み手は全体の流れがつかみにくくなり、理解がしにくくなります。
提案骨子との違い
よく、提案概要はないけれど、提案骨子は作っていますという方がいらっしゃいます。提案骨子は提案するポイントのことですね。提案骨子は提案概要の一部と言えます。提案概要が語る提案の全容には、骨子、つまり訴求ポイントに加えて、自社の優位性や実績、場合によっては市場での位置づけや競合他社との比較結果なども語り、提案力を強化するのがよい提案概要です。
そうなると、提案骨子は提案概要より先にできている必要があることがわかります。
本当に重要なのは
提案書で語る提案要旨、提案テーマ、ポイント、コンセプト、あるいは提案骨子と呼ばれる訴求内容こそが重要なのであり、提案概要はこれらを語る場所なのです。逆に言えば訴求内容を明確に語っていなければ、提案概要は成り立ちません。
提案概要はいつ書く?
英語提案書にはグローバルで作り方が大体決まっています。なかでも重要なパートであるエグゼクティブサマリーは、書くタイミングが明確に決まっています。
提案書の内容を書く前、提案書作成プロジェクト開始時の全体会議である「キックオフミーティング」の「前」です。提案書を概ね作成した後、最後にまとめを提案書の冒頭に付けがちな方もいらっしゃるかもしれません。
文章を作成するときを思い浮かべてみてください。まずは何を書くか考えますよね。それと同様に、何を提案するか、これまでの営業活動や顧客の背景などから戦略を立て、顧客にとってのメリットや訴求するポイントを言葉にします。エグゼクティブサマリーは、その内容を軸に書かれるものです。
キックオフミーティングでは、全関係者に提案プロジェクトの全体像を同時に理解してもらうために、エグゼクティブサマリーを使って認識を合わせます。そのときに内容を説明するために共有するのが、エグゼクティブサマリー、つまり提案概要です。
体験談
実際に、以前かかわった案件で、最初に大きな案件の概要図を入れた概要を関係者に開示したところ、その内容を書くライター担当が念頭に置きながら考えてくれました。さらにはその提案概要には、提案のコンセプトを言葉や絵にしていました。そのため、できあがった提案書の内容に一貫性が出て、作り手である自社の関係者にも、顧客にも、とても分かりやすく、メッセージが強く伝わったようです。
このように、この手順は理にかなっていますし、提案概要が強い力を発揮してくれますので、次に書く提案書からは、提案概要を事前にしっかり考えて、キックオフミーティングの前に用意し、関係者全員と共有したいものです。
提案概要の具体的なイメージは
提案概要を効果的に読み手に訴えるには、うまく見せることも必要です。概念図や概要図、関係図などの図解も効果的ですし、箇条書きも見やすくメリハリを付けます。内容により、グラフや表も利用できます。このように、文章だけではなく、ぱっと目に飛び込んでくるよう、目安として紙面の半分は視覚化できるといいかもしれません。
英語提案書におけるエグゼクティブサマリー
ちなみに、英語圏では、提案概要のことはエグゼクティブサマリーと呼ばれており、提案書に必ず入れたい項目として推奨されています。逆に、エグゼクティブサマリーのない提案書はあり得ないということです。
実はどこに入れてもよい提案概要
入札などの回答提案書の場合、提案書の書き方をする仕様書が提示されます。その指定を守ると、提案概要を思い通りの場所、つまり提案書の冒頭に書けない場合があります。
その際でも、提案概要にあたる内容はどこかに書く必要があると考えてください。読み手に訴求したい内容の全体像を理解してもらいましょう。メッセージを入れることができる場所をぜひ探してみてください。あるのとないのとでは、提案書全体のイメージも変わってきます。
まとめ
提案書に提案概要は不可欠ということをお伝えしてきました。提案概要の中には提案の骨子、つまり訴求ポイントと、できればシンプルで心に響く提案メッセージやコンセプトワードがあると強い力を発揮します。また、それらの裏付けにあたる内容は、そのあとの提案内容の章の中で示せばよいとされています。
限られた時間の中ですが、普段からこうした言葉をかたちにしておけるといざというときに役立つと思います。
ぜひ、提案概要について意識してみてください。