【提案書とは?】回答提案書はどうやって作ればよい?

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通常提案書と回答提案書のおさらい

【提案書とは?】というシリーズでは、提案書の基本的な概念についてご紹介しています。今回は、提案書のもっとも一般的な種類である通常提案書を、『通常提案書は自由度の高い「提案書」』としてお話ししました。今回は、もう一方の提案書の種類、回答提案書の書き方つくり方について、基本的なところをお伝えしたいと思います。

さて、もう一度、ここでおさらいしたいと思います。
コンペや入札になったときに顧客から提示される要件に対する回答を提出するのが「回答提案書(response proposal)」です。これに対して、コンペにかかわらず、営業活動の中で、お客さまにこちらから自主的に提案するのが「通常提案書(unsolicited proposal)」です。英語のunsolicitedとは、要求されないが提出するという意味でした。

【提案書とは?】提案書と提案資料はちがうもの?!提案書の種類をもう少し

→ 参照:『コンペ・入札で勝てる提案書』第1章 勝つための提案書とは?

 

回答提案書を出すきっかけとは

回答提案書はその名の通り、官公庁や企業からの「提案依頼書」に対する回答として提出する提案書のことです。「提案依頼書」は「RFP」と呼ばれ、Request for Proposalの略です。すでにお仕事の中で聞いたり対応したりしたことがあるかもしれませんね。ちなみに、「情報提供依頼書」は「RFI」と呼ばれます。Request for Informationの略です。

RFPへの回答提案は確定の仕様と価格まで含み、この仕様と構成でいくらです、と決めた見積書を提案書とともに提出します。競合企業と比較され、いずれかの会社が採用されます。

RFIは、基本的には依頼する企業がこれから購入するにあたり、何に重点を置いて購入方針を決めるか、検討するための情報収集が目的です。そのため、提案書の内容はコンセプトや製品の優位性、導入事例など、意思決定に関係する情報を、目的とする製品やサービスのみならず、より上位製品や関連製品も含めて、一緒に購入することのメリットを語ったりします。そうすることで、いわゆる「アップセル(up sell; より上位の製品を購入させる)」を狙うことが多いようです。当然の結果として、提案書はボリュームの大きな書類一式となります。

回答提案書は増えている

RFPやRFIなどに回答する回答提案書ですが、提案書を作成する機会は社会全体としては増加傾向にあります。

旧来の、業者同士の話し合いで価格を決めたり、順番に別の業者に担当させるなどの取り決めではなく、公明正大、平等に業者を選択しようという流れがあるのです。それは過去の様々な不祥事がきっかけとなって起きたことも原因のひとつではありますが、国内のみならず世界をみても、米国を始め海外でも同様に、コンプライアンスを重視するようになった結果として、コンペ・入札が必須となる流れができています。

また、中堅中小企業でも、親会社や顧客に対する目を意識して、 同様の規則に従った取引を拡大する傾向があります。実際、提案書作成の業界団体では、中小企業向けの案件対応についての議論が活発になっています。

そうはいっても、現場の営業の皆さんとしては、実際にいつもお会いしている、すでに自社製品やサービスを購入してくださっているお客さまから形式張った提案プロセスを踏むことは避けたいのが本音だと思います。実際、多くの会話や対応を経て、コンペを回避して導入、といったことは日々起きていて、これはこれでまた、いわば理想の営業成果でもあります。

大切なのは正確さ

回答提案書を作る上で最も大切なのは「正確さ」です。依頼主である顧客からの要求に100%、1つ1つ答えていることが大切です。顧客は提案書をどのように評価選定するかというと、①要求に対してすべて回答しているかどうか、②回答内容について、③その他様式について、といった具合に項目別に1つ1つ◯△×を採点して得点を積み上げていきます。ですので、そこで点数を落とさないように、工夫することが必要です。

例えば、他社にはない、自社だけが実現できる機能が要求に入っていたら、そこは願ってもない優位ですね。 逆に、自社だけがどうしても対応できない機能があった場合、その点数分、どこかでとり返すことを考えますね。

そして、全ての要求に回答するのです。内容は、導入条件に関わってきますので、間違っていたりあいまいな内容では済まされません。責任をもって納品できることを書きます。

それを伝えるための表現は、決して誤解があってはいけません。意図を正確に表現できている必要があります。特に、日本語の書き方には心得が必要です。

企業と公共では日本語が異なる?

よくあるコンペ・入札の2大顧客依頼主は、グローバル企業と官公庁・自治体でしょう。企業と公共組織では、提案書の書き言葉が多少異なります。

日本語の書き方の心得として、書き言葉のルールは大切です。きれいに書いたり、格調高く格好をつけたりするためではありません。統一された、分かりやすい日本語は、「読み手」の頭の中にすんなり入って行きます。さらに、使われている漢字やかなづかいが、「読み手にとって」いつも仕事で見慣れているものと同じだと、関係するすべての方に、より自然と理解してもらいやすくなるでしょう。

そういう訳で、ただなんとなく自分のルールで書くのではなく、よく注意して漢字、かなづかいや表現の仕方をルールにのっとって書く必要があります。

このあたりについては、また別の機会に詳しく書いてみたいと思いますが、様々参考書がありますので、ご紹介します。

●企業向け指針
→ 記者ハンドブック(共同通信社)
→ 共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK

※最もよく使われているとして、私も昔から指針にしているのは、この共同通信社のルールなのですが、他に、日本経済新聞社「用語の手引き」、朝日新聞出版の「朝日新聞の用語の手引き」も参照されるそうです。
何故、私が共同通信社のものを参考にし始めたかというと、これが当時関わっていた某MS社の販促物の文書作成の指針となっていたからです。イコール、IT業界の実質標準的な表記と言うことになるため、これをベースにしてきました。上に挙げたように、日本語変換ソフトのモジュールにもなっているほどです。特徴としては、比較的ひらがなづかいが多いということが言えます。

一方、公用文と言われる、公務員が書く文書に使う指針があります。

●公用文の指針
→ 『公用文の書き表し方の基準 資料集』文化庁編集(第一法規出版)

これは文化庁がまとめている書籍で、公用文をはじめとする国語表記全般に関連する告示・訓令・通達のほか国語審議会の答申なども収録しています。公用文とは言うものの、広く国語表記全般を対象にしたものであり、戸籍名なども考慮されています。こちらはベースとなるのが常用漢字であり、比較的上に比べて漢字が多い印象を持たれると思います。

この他にも公用文に関する書籍はいくつも出版されています。有名なものに分かりやすいものを参考にされるとよろしいかと思います。

著書の中の回答提案書の章はこちらです:

→ 参照:『コンペ・入札で勝てる提案書』第3章 回答提案書の作り方

 

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