書き言葉と話し言葉、そしてカバーレターを少し

すでに社会人歴が長くなっている方には当たり前のことではありますが、文章で使う言葉と普段話をするときに使う言葉はかなり異なるものです。

どんなに丁寧な人でも、同僚と気軽に話しているときに、「〜にもかかわらず」とか、「広範にわたる影響が懸念されます」などと話す人はあまりいないと思います。

しかし、逆にになると、状況は違ってくるようです。たとえば提案書の文章を「書く」ときには、案外、知らず知らずのうちに話し言葉を使ってしまうことがあります。たとえば「ら抜き言葉」。「見れなくなっています」は、書き言葉では、まだ「見「ら」れなくなっています」が正しいですよね。少し前ですが、私は社会人になった頃、社内提案書を書くときに文章の書き直しを1通につき7回も手書きで書き直させられたことがあります。鉛筆書きを消しゴムで消して、書き直しです。紙、もったいないですから。その頃の感覚では、ら抜き言葉の文章は完全に反則でした。

以後、なにかと聞こえてくるら抜き言葉には抵抗感がぬぐえずに来ているのですが、その間、ら抜きは消えるどころかじわじわと市民権を得てきているようです。実際、ら抜き言葉の「市民権」は、かなり広まっているのが、次の記事で改めて分かりました。

日経新聞記事「食べれる・見れる…ら抜き言葉、初の多数派」
文化庁調査 2016/9/21

それでもまだ、正式な書き言葉として認められたという話は聞こえてきませんね。
インターネットの普及で、文章を書くことに興味を持っている人は増え続けています。しかし、Eメールや個人的なつぶやきでは、どちらかというと書き言葉よりも、話し言葉に近い表現を文字にしていると捉えた方が、より多くの人々の感覚に近いのではないでしょうか。
実際、そんな話し言葉をキーボードやスマートデバイスでスワイプしたりして日常的に入力していると、同じデバイスで正式な文章を書くときに、書き言葉が出てこなくなったりして、焦ることもたまに…。

とくに提案書冒頭にカバーレターを書くときには、「ごあいさつ」や「はじめに」などの手紙文の形式が、提案書全体をもきれいに見せてくれますね。昔の社内提案書の体験もあり、わたし個人としては、提案書のメッセージ部分であるカバーレターは大好きなパートです。ひとの代理で書く場合も、その人になりきって書く、まるで手紙の代筆屋さんです。

カバーレターには他の部分には書けない、思いの丈を存分に書ける場所です。かえって自分自身のことを売り込むよりは、他人の代理くらいの方がいいものが書けたり、本人でないと伝えられないフレッシュな熱い気持ちがあったり、ああ、人間が書いているんだなあと思える、そんな1ページなのですよね。

 

タイトルとURLをコピーしました